第61回高校卒業証書授与式 濱谷校長先生から卒業生へのメッセージ

 生憎の雨となりましたが去る3月1日午前10時、藤嶺学園藤沢高等学校第61回卒業証書授与式が執り行われました。PTA役員もご招待を頂きました。174名の卒業生は非常に逞しく、立派に見えました。卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、ご卒業おめでとうございました。

また、式において濱谷校長先生が卒業生に向けて語られた言葉は非常に心に残るものであったと思います。PTAでは学校のお許しを得て、校長先生が卒業生に向けて語られたメッセージを此処に掲載させて頂きます。

第61回卒業証書授与式 濱谷校長先生から卒業生へのメッセージ

 平成二一年三月一日、卒業生の皆さん、生涯忘れ得ぬ日を迎えました。高校時代は「人生第二の誕生期」と言われ、大きく成長を遂げる三年間を、此処藤嶺台で過ごし、晴れて卒業という日を迎えたのです。

 時代が移り、社会がどんなに変わっても自然の営みは変わる事がありません。創立九十四年を迎える今年も希望に満ちた春が巡ってきました。希望と喜びの象徴であるようなこの春の良き日に多数の御来賓の御臨席を賜り、高い席からではありますが、厚く御礼申し上げます。また、卒業生の保護者の方々、担任の呼び名に凛と立つ我が子の姿を目の当たりされ、感慨もひとしおかと存じます。心からお慶び申し上げます。

 さて、六一期の一七四名の卒業生諸君。改めて卒業おめでとう!今日を境に諸君は一七四通りの新しい人生に一歩踏み出す訳ですが、今高校生活にピリオドを打つにあたって胸に去来するものはどんなものでしょう。修養の思い出ですか、それとも海外研修旅行、藤嶺祭、湘南海岸を走った開校記念マラソン、葉山の湘南国際村で実施された勉強合宿、汗と泥に交えたクラブ活動の思い出等、たくさんあると思います。いずれにしても、いざ、この藤嶺藤沢で過ごした日々の、それもごくありきたりの平凡な思い出が無性に懐かしく甦ってきているのに違いないと思っています。

 わたしたち教職員にとっても思いは同じです。この学校に始めて君たちを迎えたあの初々しい姿が、つい昨日の事のように目蓋に浮かびます。この藤嶺台で君たちに出会い、君たちの青春の一ページに立ち会えた事、そして、ともに過ごせた事をわたしは大きな誇りとしています。ありがとう。それだけに、君たちを送り出すにあたって、正直にほっとすると同時に、何か別れ難い一抹の寂しさを覚えます。そこで君たちの旅立ちにあたり、松下幸之助氏の短編集『道をひらく』より引用しながら「はなむけの言葉」を贈ります。

 志を立てよう!本気になって真剣に志を立てよう!命をかけるほどの思いで志を立てよう!志を立てれば事はもはや半ば達成せられたと言ってよい。志を立てるのに老いも若きもない。そして、志あるところ老いも若きも道は必ず拓けるのである。今までの道程において幾度か志を立て、幾度か道を失い、また、挫折した事もあったであろう。しかし、道が無い、道が拓けぬというのはその志になお弱気なものがあったからではなかろうか。つまり、何か事を成したいというその思いに、今ひとつ欠けるところがあったからではなかろうか。過ぎ去った事は最早言うまい。返らぬ月日に愚痴は漏らすまい。そして、今まで他に頼り、他をあてにする心があったとするなら、潔くこれを払拭しよう。大事な事は自らの志である。自らの態度である。千万人と雖も我行かんの烈々たる勇気である。実行力である。志を立てよう!自分の為にも、他人の為にも、そしてお互いの国、日本の為にも。

 このような気概を持って、あきらめず、恥ずかしがらず、面倒臭がらずを心にとめて、最後の最後まで可能な限り逞しく、人間らしく生き抜いて欲しい。自分で自分の可能性を縮めるな。どうせ自分なんかと決めつけるな。今できる事を精一杯やれば夢もそこにある筈だ。君たちに、自分でも発見できない能力、才能、可能性がまだまだ沢山潜んでいる筈だ。進路が決まった諸君、来年に向けて捲土重来を期する諸君、人は他人に嘘はつけても自分自身に嘘はつけないのです。まず、己を知れ。人まねをせず、人に頼らず、しっかりとした自分の個性を作り上げ、その道のスペシャリストとして自己を磨き続けて下さい。いつの日か、諸君とふと街角で出会い、声をかけ合う日を楽しみにしています。

 最後になりましたが、保護者の皆様にお礼とお祝いを申し上げます。御子息の御卒業誠におめでとうございます。学校として配慮の足らなかった面、至らなかった点、多々あったかと思いますが、大切な御子息をお預かりをし、私ども学年主任、クラス主任、協力担任を中心に頑張ってきたつもりでおります。それに応え、生徒達もよく努力をしてくれました。三年間、あるいは六年間にわたりまして、本校の教育活動推進の為にお寄せ頂いた暖かい御理解、御支援、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。藤嶺藤沢は名実ともに皆様の御子息が卒業された母校として胸が張れるような学校作りに邁進していきたいと考えております。今後ともどうぞ温かい目で藤嶺藤沢の動向を見守って頂きたいと思っております。本当に長い間、ご苦労様でした。

 最後です。どうか、僕の顔をしっかりと見据えて下さい。しっかりと校長最後のメッセージを心に受け止めてもらいたいと思います。もう一度言います。僕の顔をしっかりと見据えろ!そして、藤嶺藤沢の校長の最後のメッセージをしっかりと心に留めておいてもらいたい。一七四名の卒業生の諸君、記憶は時が経つにつれて消えていく。しかし、思い出は時を重ねる度に鮮明になっていく。大切な尊い一度っきりの人生、どうか素晴らしい時を重ねていこう。
では、お元気で。さよなら。
終わります。

以上。