平成23年度藤嶺学園藤沢中学校入学式 濱谷校長先生式辞

例年よりも開花が遅れていた遊行寺の桜の蕾が漸くほころび始めた4月5日、春らしい温かみの感じられる風の中、平成23年度藤嶺学園藤沢中学校の入学式が執り行なわれました。

PTAでは学校のお許しを得て、中学校の入学式において濱谷校長先生が新入生に語りかけたメッセージの全文を此処に掲載させて頂きます。

平成22年度藤嶺学園藤沢中学校入学式 濱谷校長先生式辞

今、諸君たちの入学を認証致しました。

2011年3月11日、巨大地震と大津波は日本にとって戦後最大な災害になりました。この東日本大震災では多くの尊い命が失われました。深い哀悼の意を捧げるとともに今なお苦しんでおられる被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

さあ、君たちは、小学校の卒業式までは児童と呼ばれていましたが、今日からは生徒になります。呼び方が変わり、そして、服装が変わっただけでも、なんとなく成長したような、大人に近づいたような気がしていると思います。今からは「気がする」というだけではなく中身も生徒と呼ばれることにふさわしくなるために努力と訓練が始まります。

本日は、ご来賓と多くの保護者の方をお迎えし第11期生の入学式ができますことは大きな喜びであります。心よりお礼申し上げます。

巨大地震は、相次ぐ余震の他、原子力発電所の事故も、電力や輸送交通を巡る問題も引き起こしています。危機は未だ去らず、予断を許さない状況です。大震災の惨状が今も多くの地域に存在をしています。僕には、おめでとう、という祝意の言葉がなかなか出てきません。大震災の痛ましい状況があるからです。

しかし、今このときだからこそ君たちに校長としての想いを伝えなければならないと思っています。ひとを励ますことのできる人になれ。ひとを癒すことのできる人になれ。そして、勇気を与えられる人になろう。被災地に在って生きることに懸命の力を振り絞っている仲間のために、僕らも、精一杯、共に共に今を大切に生きていこう。

さて、本校は、中高の教育目標である

  • 柔軟な発想と旺盛なチャレンジ精神の涵養
  • 国際社会に太刀打ちできる21世紀のリーダー育成
  • 打たれ強いタフな男子の育成

に取り組んでいます。君たちもわかるように、現代の社会は様々な問題を抱えています。中学校教育にも困難な課題が数多くあります。子供を取り巻いている大人の責任として学校と家庭が共にこれらの課題に向かいあう必要があると考えております。保護者の方々にはよろしくご協力の程お願いを申し上げたいと思います。

144名の新入生諸君。長い苦しい入試だったと思います。ようやく君たちの努力が実を結びました。君たちの健闘を心から称えたいと思います。先生たち、そして、2年生、3年生の全員が、君たちの入学を心から歓迎しています。また、今日のこのような喜ばしい結果を勝ち取ったのは君たち自身の努力、ファイトの結果です。だが、長い間君達を支えてくださったお父さん、お母さんの深い愛情を決して忘れてはいけません。そして、君達の入学を喜んでくれている色々な人々への感謝も忘れないで下さい。

学校選びをするとき、「いい学校」あるいは「良い学校」という言葉が使われていますね。「いい学校」「良い学校」とはどういう学校のことをいうのでしょう。僕は、「いい学校」「良い学校」とは建物の美しさ、或いは、グランドの広さ、設備の整い方だけでは決まらないと思っています。一番大切なのは、生徒同士、生徒と先生が信頼をし、助け合い、励まし合って、毎日毎日の勉強、学校行事、クラブ活動などに打ち込んでいるかどうかで決まるのだと考えています。そういう意味では、藤嶺学園藤沢中学校は本当にいい学校だと自信を持って言い切ることができます。

現代の社会は、世界の若者たちと共存をし、共に生きていく、共生していく、グローバルな社会だと言われています。用意されたルートを確実に歩む生き方、用意されている道を確実に歩むという生き方から、自らの力で道を切り拓き、様々な人々と共に生きる力、本物の力が必要とされています。高い志、高い学力、高い人間性です。君たちに是非本物の力を蓄えてほしいと願っています。僕は、その力は次の五つの要素から成り立っているのだと考えています。

一つ、読み・書き・そろばんの力。これを基本的学力と呼んでいます。
二つめ、国際的に太刀打ちできる力。語学力、IT技術、人間ネットワーク。
三つめ、他人のために生きる力。ボランティアの思想。
四つめ、人間的素養。
五つめ、教養の力。これを合わせて、歴史観、スポーツ、芸術。

紹介したこの五つの力に目新しいものは一つもありません。昔からあった力です。しかし、時代が変わっていく中で、我々日本人が失ってきた力です。是非とも君たちがこの五つの力を復活させて下さい。そして、強い日本を作っていく力にして下さい。君たちの前に横たわる課題は、「いのち」に関わる問題ばかりです。考えてみましょう。人口問題、エネルギー問題、食糧問題、地球環境破壊の問題、難病、世界の民主化問題、自然災害など、これらの課題がすべて「いのち」に関わる課題です。だからこそ、一つの国、一つの民族で解決できるものは一つもありません。世界の若者たちの連帯と知恵が必要です。そのために、まず、身近なところから世界を知ろう、もっと本を読もう、元気よくやろう、と思います。

今、僕の手もとにあるこの冊子の中に諸君達の144の「夢」が書かれています。「夢」実現に向かって、毎日毎日が新たな挑戦です。一歩ずつ、一歩ずつ、前進して下さい。「自分らしさ」とはどういうことを言うのだろう。自分の持っている力を思いっきり出し切ったときに「自分らしさ」が輝き始めてくる。全力で努力する習慣をつけ、「夢」を絶対にあきらめない、たくましい男になってくれることに期待をしています。

若き藤嶺健児。あきらめない、たくましい男に成長してくれることを切に期待をしています。以上です。