平成23年度藤嶺学園藤沢高等学校入学式 濱谷校長先生式辞

例年よりも開花が遅れていた遊行寺の桜の蕾が漸くほころび始めた4月5日、春らしい温かみの感じられる風の中、平成23年度藤嶺学園藤沢高等学校の入学式が執り行なわれました。

PTAでは学校のお許しを得て、高等学校の入学式において濱谷校長先生が新入生に語りかけたメッセージの全文を此処に掲載させて頂きます。

平成22年度藤嶺学園藤沢高等学校入学式 濱谷校長先生式辞

2011年3月の11日、巨大地震と大津波は、日本にとって戦後最大の災害となりました。この東日本大震災で犠牲になられた方々とご遺族に深くお悔やみを申し上げます。被害に遭われた皆様にも心よりお見舞い申し上げます。

一貫生138名、高入生87名、計225名の新入生諸君と多くの保護者の皆様をお迎えし平成23年度の入学式をできますことを心から感謝申し上げます。東日本大震災の惨状が今も多くの地域に存在をしています。僕には、おめでとう、という祝意の言葉がなかなか出てきません。大震災の痛ましい状況があるからです。祝意は避けるべきではないか、という意見があるからではけっしてありません。その言葉が、あまりに明るく、僕のこころを暗くするからです。

しかし、今このときだからこそ、諸君に校長としての想いを伝えなければならないと思っています。ひとを励ますことのできる人に、ひとを癒せることのできる人に、そして、勇気を与えられる人になろう。こころから信頼できる仲間と一緒に逆境を乗り越え喜びを分かち合おう。ひとを思いやる気遣いは、ひとに元気を与える大きな力に変わっていくのです。被災地に在って、「いのち」そのものに対峙し、生きることに懸命の力を振り絞る友人のために、情熱を持って、精一杯、共に共に今を大切に生きていこう。

新入生の諸君、藤嶺学園藤沢高等学校にようこそ。高等学校は、小・中学校の義務教育とは異なります。諸君たちは、上級学校を目指す学びと部活動や学校行事を通してたくましい人間になろう、成長しようと考えて、自らの決意で本校を選択をし入学をされて来たのです。保護者の強いサポートがあったにせよ、諸君らの責任によって高校進学を決定したのだ、ということを忘れないで下さい。それ故に、一人ひとりの強い意思と勇気、さらに、将来を見据えた粘り強い努力が今後求められていく事を自覚をして下さい。本校の建学の精神は、創立以来96年脈々と流れている「勇猛精進」「質実剛健」です。その精神を、僕は、外見の姿、形に捉われることなく、自己の「夢」実現に向かって努力する姿勢を持ち続けることだと常に語っています。教育目標として

  • 確かな学力、豊かなこころ、健やかな体の育成を掲げ
  • 柔軟な発想と旺盛なチャレンジ精神の涵養
  • 国際社会に太刀打ちできる21世紀のリーダー育成
  • 打たれ強いタフな男子の育成
  • 首都圏国公立大学への進学実績を伸ばすこと

を生徒諸君とともに目指しているわけです。

そこで、新入生諸君に、

  • あきらめず
  • 恥ずかしがらず
  • 面倒くさがらず

をしっかりと心にとめ、次の三つを必ず実行するように望みます。

一つ。自ら進んで学ぶ。
学ぶ姿勢が受け身では充実した高校生活は期待できません。グローバルな社会に生きる諸君に求められている力は、単に知識を暗記することではなく大きな志に向かって自ら学ぶ姿勢です。

二つ。規律ある行動をせよ。
集団生活を営む人間社会において私たち一人ひとりの自由や幸せを維持するために規律を守る。人類が作り出した知恵なのです。規律ある高校生活を通じて、自分のことは自分でやる、他人に迷惑をかけない、是非今日から自立した若者になるように行動して下さい。

三つ。高い目標を掲げ、日々、自分を磨け。
技術を学ぶことも大切だが、こころで学ぶこと、こころで感じて豊かになること、最も大切なことです。常にもっと魅力的な人物になりたい、こころから純粋に強く思うことです。試練は何のために与えられると思うか。それは、もっと強く大きくなるためです。だから、前へ進む。正直なところ、僕も、苦労をわざわざ買ってまで自分を磨こうとは思わない。でも、苦労の数だけ人間は成長できることを知っています。そして、その試練を乗り越えたご褒美に最高の笑顔が手に入る、ということも知っています。高い目標を掲げ、自分の持っている力を思いきり出し切る。これは、一生懸命生きていると自信を持って言い切れる自分になれる。

ある新聞に「こころを一つに手を携え、悲劇を日本再生の転機に」と題してのコラムが掲載されていました。その概要を新入生諸君に紹介をしたい。

『東日本を襲った大震災は日本史の節目になろう。できることなら、日本が良くなる方向への転機にしたい。それは、今生きている日本人の意志にかかっている。そうしなければ大惨事の犠牲者は浮かばれない。復興には多くの人手や巨額な費用がかかるし、電力供給もしばらくは制約される。被災者の負担を国民一人ひとりが分かち合うときだ。国民がこころを一つにし、手を携え、被災地の、日本の再生を果たし、世界から『さすが日本』と言われるようにしたい』

と書いてありました。

若き藤嶺健児よ。不安を消して、そして、不可能を可能にする唯一の方法は、チャレンジするスピリッツを持ち続けることである。エネルギッシュに、ひたすら前に進むべし。今日の日を決して忘れずにいて下さい。東日本大震災の復興に思いを馳せ、他者の人格を尊重し、思いやり・励ましのこころを持って、共に考え共に学び共に歩むことの大切さも。一生懸命生きよう、そして、幸せをこころで感じよう。がんばろう日本。若き藤嶺健児に期待します。

以上です。