第7回遊行寺セミナーのご報告

6月19日に、PTAおやじの会の主催による第7回目の遊行寺セミナーが開催されました。今回のテーマは『笑顔を引き出す話し方のコツ』です。講師には落語家の桂歌助師匠をお招きししました。普段から自然な笑いを自ら作り出す話術の難しさを感じている方が多くいらっしゃるからでしょうか、笑いのプロをお招きした今回の企画には、多くの参加者が集まりました。当日は、どんよりと蒸した梅雨空にも関わらず、遊行寺セミナーとしてはこれまでで最高の参加者数、160名余の方が来場し、定刻にセミナーが始まりました。

今回の講師である桂歌助師匠は、落語芸術協会会長である桂歌丸師匠を師と仰いで1985年に入門し、1999年に真打に昇進されました。落語以外にも、2000年にはTBSの看板番組『水戸黄門』へ出演され、また普段から教育現場で講演会の講師を引き受けるなど、落語の話術や笑いを通して広く活動を展開していらっしゃいます。


師匠は東京理科大学数学科出身で自然科学の素養をお持ちのせいか、講演はいきなりNK細胞と笑いの関係という謎めいた話から始まりました。ご存知の方も多いと思いますが、NK細胞は免疫を司る細胞のひとつであるNatural Killer細胞の略称で、体内に侵入してきた外敵である異物を攻撃して体を防御する重要な役割を担っています。 このNK細胞の数は、落語を聞いた後は聞く前よりも増えるという実験報告があるのだそうです。なぜ、落語を聞くと増加するのかというと、以下のような説明が考えられています。まず、落語を聞くと面白いので笑います。笑うときにはお腹を動かしますので、有酸素運動と同じように体内に多くの酸素を取り込むことができます。すると、体内活動が活発になるため、NK細胞が増加する、というものです。笑いには人と人との潤滑油としてだけでなく、人体を健康に導く効果もあるようです。

その笑いについてですが、師匠によると笑いには二通りあるそうです。ひとつは思い出し笑い。乳児がお腹の中で聞いていた音楽を生後に聞いた時に表すような笑いです。もうひとつは気持ちよさがもたらす笑い。

そして、この気持ちよさを感じる笑いを生み出すのは、

  1. 高低、大小、遅速の調節などによって変えられる声
  2. 仕草
  3. ねた

の3つの要素なのだそうです。落語家は声が作り出すリズムや間に仕草を加え、さらに同音異義語が生み出すネタとしての意外さ面白さを修行によって学びます。以下に小噺の一例をご紹介します。

「先生、顔ってどう書くの?」
「そりゃ、左側は彦で右側はページだ」
「じゃ、頭はどうかくの?」
「そりゃおめえ、左側は豆で右側はページだ」
「違うよ、頭はこうやってかくの(といって頭を掻いてみせる)」

もうひとつ。

「かあちゃん」
「なんだい」
「パンツ破れた」
「またかい」


文字にしてしまうとたわいもないネタが、生き生きとした小噺に変身する芸を見せて頂きました。万事このような調子の巧みな話術とテンポに乗って、瞬く間に時間が過ぎ、講話が終了しました。短い休憩を挟んで、続いて古典落語の「金明竹」、「替り目」という2つの演目を披露して頂き、最後は踊りの「奴さん」も披露して頂き、盛況のうちに終了の時間が来ました。

『笑顔』を引き出す努力と工夫に支えられた芸に接することで、改めて笑顔を引き出す難しさを感じた方もいらっしゃったかもしれません。 それでも、思い出し笑いもよし、笑わせてもらうもよし、時に下手なダレで苦笑されるもよし、笑いと共に過ごしたいものです。

また、セミナー修了後には遊行寺内の大広間にて懇親会を開催いたしました。懇親会にも80名程の方々がご参加いただき、親同士の情報交換・歓談で、予定時
間があっと言う間に終わってしまいました。

さて、今回は先生方、PTA実行委員、会場設営に参加してくださった多くのボランティアの皆さま方のご好意にささえられて事前の準備も滞りなく整えることができました。また参加してくださったみなさま方のご協力で熱のこもった意義深いひとときをすごすことができました。改めて感謝いたします。

最後に習ったばかりの謎かけをひとつ。

『息子の成績』とかけて『謎かけ』と説きます
その心は
『どちらも落ちが気になります』

おあとがよろしいようで。

★桂 歌助師匠の噺がもっとお聞きになりたい方へ・・・

10月7日 横浜にぎわい座 桂歌助独演会

他にも歌助師匠のHP「歌助かわら版」にも多数出演予定の情報が掲載されています。